スイス鉄道の旅

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ドイツ、ワイマールのマスタークラスに参加したあと、ちょうどスイスでバカンス中の知人を訪ねました。この知人とは、70過ぎのドイツ人のおばさまです。かつてシュトゥットガルトに留学中、フィッシャー・ディースカウさんの講習会があるというので、街の銀行のホールへ見学に行ったとき、たまたま席がお隣で、私が持っていた楽譜を一緒に見せて差し上げたりしたのがきっかけで、知り合いになりました。

以来、私の話す不完全なドイツ語を嫌がる事無く、つきないおしゃべりにしばしば付き合って下さいました。ドイツの詩を朗読したり、一緒に演奏会を聴いたりしながら、どうしたら私がドイツの歌を本物として歌えるか、一緒に取り組んでくれました。私が出演した演奏会にはいつも足を運んで応援してくれました。若い頃、演劇を志した事もあったけれど、その後はシュタイナー学校で先生をしていたそうです。

私と話すときは、気楽な多少訛りの混ざったようなドイツ語ではなく、出来る限り舞台ドイツ語に近い標準ドイツ語(Hochdeutsch)で話してくれました。外国人である私のドイツ語を聞き取る上に、そのように格式ばったドイツ語で話すのは、おばさまにもそれはそれは大変な労力であっただろうと察せられ、頭が下がります。(これはもう少し後になってわかりました。)

ドイツの芸術の真髄を伝えることに力を尽くすことが、ドイツ人としての責任である、とお考えです。

このおばさまとの再会を果たしたく、ドイツから電車でスイスに向かったのでした。写真はいよいよ山間部へ入る前のスイスの乗り換え駅クールでのものです。