2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

薔薇:虚構と現実

オペラは舞台芸術。舞台は虚構の世界をお客様に提供するところ。私も幾ばくかの務めを果たした。 舞台に出演した日、楽屋に届けられた、応援して下さる方々からの沢山の花束のなかに、長い茎を持つ小さな薔薇の束があった。演出助手の方から出演者それぞれへ…

カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ (1714-1788)

先日、私はバッハの次男カール・フィリップ・エマヌエル・バッハの作品の演奏を聴きました。 大バッハの次男で、晩年はハンブルクでテレマンの後任として教会総監督をつとめ、やはり「大バッハ」と慕われた彼は、その前に1740年からプロイセン王国のベルリン…

日本にある欧米の伝統

白金台にある明治学院大学には、関東大震災も戦争も耐え抜いたという歴史的なチャペルがある。豪華絢爛ではなく、静かな趣のあるチャペルだ。アメリカ出身のヴォーリーズと言う人が建てた。どこか私が住んでいたドイツの街角にある小さな田舎の教会のようで…

変身の結果。ついに出てこなかった?!

ドイツで知り合った日本人家庭の小学校4年生になったまいちゃんが、やはりすでにドイツから帰国していて、そのお母さんと一緒に、先日のオペラ公演を観に来てくれていた。 すべてが終わり、一通りカーテンコールが終わったとき、まいちゃんはお母さんに言っ…

メルセデスさんとのご縁

実は、私の本当のオペラ初出演は、先の記事に書いたものに遡り、音大3年生の学園祭における日本語版カルメンのメルセデス役だった。これは学生同士で作り上げたもので、それなりに皆、熱演で好評だった。私はやがてメルセデス・ベンツの本拠地に留学すること…

洗面器の割れたホームベースに

昨年、留学を終えて帰国してからリサイタルやコンサート出演はあったけれど、オペラ出演は今度が初めてだ。奇しくもその会場は、ささやかながら私がかつてオペラ・デビューしたホールだ。 その私のオペラ・デビュー公演の指揮者はまだ若いイタリア人だった。…

明かりの灯ったふもとの街

ノイシュヴァンシュタイン城の内部を見学して、徒歩で下界まで降りてくると、もう夕暮れ真近だった。写真は明かりの灯り始めたふもとのホーエンシュヴァンガウの街だ。どこかスイスの田舎街(いったことはないけれど)みたいだった。そういえばフュッセンか…

ルートヴィヒ2世の幼少時代

ノイシュヴァンシュタイン城を作ったバイエルン公国の王様ルートヴィヒ2世は、子供のころお父さんのお城で育った。黄色いお城だ。これがホーエンシュヴァンガウの街にあるので、ノイシュヴァンシュタイン城まで上る前に観光できる。写真の庭には白鳥の口から…

雨に煙るノイシュヴァンシュタイン城

フュッセンの駅からは観光バスのように大きなシャトルバスで、お城のふもとの街ホーエンシュヴァンガウまで移動する。バスを降り立つと、この写真のように観光用の馬車、その背後の山の中腹には、雨に煙ってノイシュヴァンシュタイン城の白いシルエットが見…

特別切符でノイシュヴァンシュタイン城へ

10月3日は東西ドイツの統一記念日としてまだ歴史の浅い祝日だ。 前日の夜、部屋でインターネットを見ていて、ドイツ鉄道の広告を見つけた。ドイツ統一記念日のこの日だけ、どこまで行っても日帰りで25ユーロという特別乗車券が使えるという。予約はインター…

日本画家、鈴木皐雲 (1900~1948) のこと

私の母方の祖父は日本画の画家で、雅号を鈴木皐雲(すずき・こううん)といった。気質の穏かな静かな人だったが、47歳のとき脳溢血で倒れ、その日のうちに亡くなったそうだ。だから私は祖父に会ったことがない。祖母の家には羽織袴姿の祖父の写真がいつも飾…

シーザーさん、よろしく

フォロ・ロマーノの遺跡を背後にした場所に、ジュリアス・シーザーの像がありました。そばにいた英語で話していたカップルにシャッターをお願いして私も記念撮影。真っ黒な髪は熱を吸収して大層熱くなり、帽子を持っていなかった私は、バックに入っていたハン…

古代ローマ遺跡「フォロ・ロマーノ」

「フォロ・ロマーノ」は古代ローマの都市の中央にあった大広場で、商業、裁判、市民集会の場となっていた。ドイツの文豪ゲーテもかつてイタリア旅行の折、ローマで大いにインスピレーションを得た。現在もガイドブックを手にした国際色豊かな観光客が散策して…

ジュリアス・シーザーの最期

飛行機のマイルがたまって、ローマへの航空券を手にし、ドイツからふらりとローマへ2、3日の旅に出かけた。ドイツからイタリアはとても近い。午前中の用事を済ませて帰宅、着替えて荷物を持って出発!夕方にはローマに着いてしまう。まるで国内旅行の感覚だ…

過去、現在、未来

このブログには現在の出来事ではなく、思い出を綴っているけれども、それらは何かしら現在につながっているからこそ、私の記憶に蘇ってきた事柄である。 その日の出来事も、それを振り返る夜にはすでに過去のことになっているから、その意味では毎日つける日…

ウィーンからのCD

留学中、シュトゥットガルトで、バッハのマスタークラスで知り合った私の友人、ウィーンっ子のアルト歌手が今、某劇場の日本ツアーのソリストとして来日している。先日、関東地方での公演にあわせて、公演後に一緒にビールで食卓を囲んだ。趣味でウィーン楽…