日本にある欧米の伝統

白金台にある明治学院大学には、関東大震災も戦争も耐え抜いたという歴史的なチャペルがある。豪華絢爛ではなく、静かな趣のあるチャペルだ。アメリカ出身のヴォーリーズと言う人が建てた。どこか私が住んでいたドイツの街角にある小さな田舎の教会のようでもあり、天井を見上げると、これもドイツでよく見た木の天井。私には、初めて訪れた空間だが、なぜか懐かしいような気のする不思議な場所だ。

今日はそこでバッハのカンタータ106番とモテットの演奏があると聞いて、ふらりと出かけた。暗くなっても電気が煌々とついている品川の駅前。でも大学の門を入るとさっきまでの喧騒が嘘のようにひっそりとしていた。

今日使われたオルガンは、オランダのエーケンさんという方が作ったもので、昨年12月にここに入った新しいポジティヴオルガンだそうだ。今日は、オルガンの調整のためにちょうど来日していたご本人が、演奏会に立ち会っていらした。明日には帰国されるそうだ。このオルガンは小さく見えるが200キロも重量があるという。

このチャペルももうじき改修工事に入るらしい。古いたたずまいの残っているうちに、また訪れて写真に収めたいと思うような、素敵な場所だ。