ハイデルベルク:お化けの出る部屋?!

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作曲家シューマンの故郷、旧東独側にある街ツヴィカウを初めて訪ねた夏。ツヴィカウは私がドイツで始めて宿した土地となった。その後シュトゥットガルトを経由して、デュッセルドルフへ出る途中、通り道のハイデルベルクに立ち寄る。列車を降り、階段を登りながら階段脇についている荷物用のベルトコンベアにキャリーバッグを取っ手を伸ばしたまま載せたら、途中で荷物が曲がり、壁に押し付けられて取っ手がくの字に曲がってしまった。おかげで腕にかなり重みがかかるようになってしまったバッグをひいて、まずは観光案内所へ。安い宿を探すのにも、案内所を通すと手数料がかかるけれど、一覧表を見て自分で電話をかけて予約をすれば手数料はかかりませんんとのこと。少ない予算で旅する学生の身としては、もらったリストを持って即、公衆電話へ。そこでかけた何軒目かに、ようやく財布に見合う空き部屋があったが、それも本来は4人用の部屋とのことで、1人にしては少々割高だった。でも他の一流ホテルの値段よりはずっとお手ごろだし、もう疲れていたのでそこに決めてタクシーに乗った。

さて、着いてみると、受付でお姉さんが、お待ちしてましたよ、と迎えてくれ、運のよいことに、お手頃なお値段の部屋にちょうどキャンセルが出て空いたという。最上階の屋根裏部屋で、エレベーターもない、入り口のドアは腰を屈めないと通れないような小さなドアで、部屋の中もところどころ屈まないと通れない。でもシャワーも、トイレも、テレビもちゃんと付いている、という。値段も予定していたお部屋の3分の1だ。喜んでそこにしたい、というと、本当にいいですか??、と今度はなぜか少々心配そうな受付のお姉さん。学生ですからもちろんお手軽なお値段に越したことはありません、助かります!!!と返事をして、いざ、上まで荷物を持って運ぶこと、数分。

部屋に入るドアは、確かに不思議の国のアリスの世界のように、普通の半分くらいの高さだ。中に入ると、天井が高い所と低い所があり、でこぼこしている。でもそれなりに清潔なお部屋で、ベッドもダブルベッド、シーツや布団カバーもとても可愛いのが使ってあった。そして、斜めの屋根についた窓を外に押して開けて顔を出すと、美しいハイデルベルクのレンガ屋根の連なりも見渡せて最高だ。(ちなみにこのページの写真はこの部屋からの眺めではなく、観光名所のお城の上からのもの。)

さて、その夜、私は数回トイレに起きた。1回目、洗面所のタオル掛けに掛けておいたタオルが床のタイルの上に落ちている。眠い目をこすりつつ拾い、きれいに広げて掛けて、またベッドに戻った。2回目に起きた。また洗面所でタオルが落ちている。おかしいなあ、さっきかけた気がしたのに・・・、とぼんやりと思いながら、またかけて寝た。3回目、もう朝になっていたが、まだもう少し眠れるかと思いながら洗面所に行くとまたタオルが落ちている。首をかしげつつ、かけ直してまた寝た。そうこうするうちに目覚ましがなって、起床。身支度をして朝食に降りていった。受付のお姉さんはお部屋どうでした?、と聞くので、眺めはすばらしいし、ベッドも大きいし、バスルームもきれいで快適でした、と答えた。

さて、帰途に着くため鉄道駅までのタクシーに乗ってふと思ったことには、あのタオル、もしかして、お化けのしわざだったのだろうか・・・。そう思うと多少鳥肌も立ったが、可愛いいたずらなお化けだったと思うと、歴史ある古いハイデルベルクの街の家屋ならではの体験ではないかと、微笑む余裕もあった。イギリスでは幽霊の出るような歴史ある家の物件は、幽霊マークがつけられて、お値段がお高くなると聞いたことがある。私の泊まったハイデルベルクのこのお部屋は、朝食付き一泊2000円くらいのお部屋だった。