ボンの森

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写真がボンのユースホステルだ。街から市バスで20分くらいの郊外にあった。オペラの帰りもバスで帰った。空いている深夜の道路をバスは快速に飛ばす。車内放送で停留所の名が聞こえたらボタンを押すとバスがとまってくれる。すると、とまったのは真っ暗なところだ。様子が違うので、降り際に運転手さんに聞いて見ると、なんと一つ先まで来てしまっていた。どうやら車内放送が一停留所分、ずれていたようだ。公共のバスにそのまま引き返してもらうわけにはいかないから、とにかく降りて歩くしかない。こんなところに停留所があることすら不思議なような森だか林の中の道。きっと個人の邸宅が木々の後ろにはあるのだろう。一つ前の停留所に向かって歩き出した。しばらく歩いて不安に襲われた。何せ明かりは一切ない、車も通らなければ人もいない。このままキツネかタヌキに化かされてこの世からひょいっと消えてしまいそうだった。観光ガイドにも安全のため人気の少ない道は避けましょう、なんて書いてあるけれど、こうも人気がないのはすでに観光の域を超えている。でも、夜遅くて、もう反対方向のバスはなかったのだからこのまま進むしかない。しまいには走り出した。そのうち遠くに明かりの兆しが木ごしに見えてきて安心、無事、宿に戻った。自然界肝試しのような体験だった。

次の朝、出発のとき、昨晩の道を眺めた。なんのことはない、ただの林の間の車道だ。車道だったけれど車さえ通らなければ林の真っ只中。自然界の暗闇というのは怖く感じられるものなんだなあ、と思った。

このユースホステルは森の中のゲストハウスのようだ。街から多少離れていても、郊外の自然を満喫できるよい機会になった。