梅にうぐいす~ドイツリートの感性

朝、まだ起きる前に、窓の外から「ホー、ホケキョッ!」ときれいな声が聞こえます。うぐいすが鳴いているのです。紅梅も咲いています。いい季節です。家に居ながらにして、こうしてうぐいすの声も聞けるのは幸せす。

自然の音に耳を傾けることと、ドイツリートの詩と音楽に感性を向けて歌うこと、鑑賞すること、などはとても共通するように思います。

ドイツの演奏会でドイツリートを歌うとき、「ああ、歌詞で、言葉で聴かれているんだなあ」、ということを客席の空気から感じました。もちろんそれは旋律をないがしろにして言葉でごつごつと歌う、ということを意味するのではありません。音楽と共に言葉を聴き、言葉から発する抑揚とイマジネーションが音楽と合致しているのを楽しむ、といったらよいでしょうか。

そういえばドイツの人たちはお散歩が好きでした。

公園や森林はもちろんですが、日曜日は総じて閉まっている商店街を、なぜか人が沢山そぞろ歩いているのです。お店は閉まっていてお買い物は出来なくても、ショーウィンドーを眺めながら、家族で、恋人同士で、友人たちと、とにかくよく外に出て歩く人々でした。それを見ていた私も、よく歩いていた、ということですね・・・。

でも何よりも自然の息吹の中を歩くのは、心身のリフレッシュになります。

ヨーロッパの演奏家たちの中にも、ある程度名と財を成すと、なぜか都会の住まいを引き払って、自然の豊かな地域に引っ越して、仕事のないときはできるだけ自然の中で過ごすようにしている、というケースに多々遭遇しました。