オペラ発祥の地フィレンツェ

夏のフィレンツェは、石だたみ、石造りの建物と、すべて石づくしの街で、まるで石焼オーブンの中にいるかのような暑さでした。冬、年末年始のフィレンツェは、ドイツから行った身には暖かく感じられ、芸術鑑賞に冬休みを費やそうという観光客が、のんびりと時を満喫している、混雑しながらもゆったりと楽しめるところでした。大晦日に花火があがるのは、ドイツのシュトゥットガルトと同じでしたが、中世の街並みにはあまり似合わない感じでした。

宿の近くの路地裏に見つけた地元のカフェは、お値段は観光スポットのカフェとは違って、驚くほどお手頃、でもお店は昔からの老舗と見えて、店構えも、コーヒーやパンの味も格別でした。このお気に入りのカフェでは、朝食のコーヒーを飲みながら、新聞を広げて読んでいるイタリアの陽気なマダムとおしゃべり、しまいには、「あなたイタリア語ができるんだから、フィレンツェで仕事ができるわよ、部屋だって学生なら家賃は・・・ユーロくらいであるわよ」、などと、勧誘されてしまいました・・・。あのとき、そのままフィレンツェに住む事にしていたら、今頃、私は何をしていたでしょう。そんなことをふと考えたりするのも、休日の楽しみです。

ふと本業に思考を戻して思えば、フィレンツェはオペラ発祥の地でした。観光名所のひとつピッティ宮では、1600年10月に、フランスのアンリ4世メディチ家のマリアの結婚祝いに作曲されたペーリによる「エウリディーチェ」が上演されました。カッチーニによる「エウリディーチェ」もその数年後に上演されています。どちらもフィレンツェ派の劇場様式を示しています。

モンテヴェルディの「オルフェオ」がマントヴァで上演されたのはこれらの少しあと、1607年のことでした。それはフィレンツェ派のスタイルから新しい一歩を踏み出した作品として評価されています。

フィレンツェ名物の1つ、牛ステーキは、塊のように大きいまま出てきます。皆で分けて食べたりするのも楽しいのですが、昔は、手で掴んで食べたとか、ワイルドです。