雲浮かぶ街ヴェルグル

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ミュンヘンから南へ電車で1時間。車両はすでにドイチェ・バーンではなく、トレン・イタリア、ヴェローナ行き。そんな電車に乗って到着したチロル地方の小さな街ヴェルグル。ここで1週間のマスタークラス「ドイツリートとオペラ」に参加した。

講師は20世紀を代表するドイツのメゾソプラノとして活躍され、現在はインスブルック歌劇場のインテンダントを務めているブリギッテ・ファスベンダーさん。今回は事前に録音審査があって、受講できることがわかっていたから、安心して旅立つことができた。

民宿のような宿に住まって、毎朝、こんな風景のところを散歩しながら声を出して、喉の調子を確かめてみる。シューベルトのちょっとこわ~いバラードの歌詞を覚えたかどうか、歌いながら確かめていたら、通りの向こう側を子供を二人連れて歩いていたおじいさんが話しかけて来た。

よく歌ってるねえ、子供たちに何か歌ってくれないかい?喜ぶだろうから。

さすがに、そのこわ~いバラード(日本でいう、心中もの)は子供にはまずいと思ったので、「ます」を歌ってみた。子供も喜んだ。おじさんはこの子供たちのおじいちゃんだった。

こうやって私の身体にドイツ語と、音楽と、人とのふれあいと、自然と、いろいろなものが一緒になって染み入ってくる。

すぐ近くの山の中腹に、雲のたなびく街。標高500メートル。思い切って飛んできてよかった、と思った。