氷河の見えるベルニナ線

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観光ブームで度々テレビにも登場するスイスのベルニナ特急は、スイスのサンモリッツからイタリアのティラーノまでのベルニナ線を走る。標高2000メートルを越える車窓から見える、氷河の絶景で有名な観光列車だ。

写真の線路はまさにそのベルニナ線の線路。

でも私はこの特急に乗ったのではない。車で通ったのだ。

留学から帰って2年半ぶりにドイツに行った夏、サンモリッツの近くの街でバカンスを過ごすのを毎年の夏の楽しみにしていた、ドイツ人70歳のおばさまを、その街に訪ねた。そして数日滞在したとき、何と!そのおばさまの運転する車でこの特急が行くのと同じ行程を登ったのだった・・・。

そして、オスピツィオ・ベルニナ(Ospizio Bernina)という駅の広場に車をとめてびっくり。目の前には写真のような白い大きな湖。車から降りて、向こうのほうを見ると、もう一つ黒い色の湖があった。とても有名な場所だ。

風に吹かれて髪がぼうぼうになりながら、おばちゃんと一緒に写真も撮った。私の一生の思い出だ。こんなところに自分が行く事ができるなんて、思ってもみなかった。人生には時々、不思議なことが起こる。このスイスの氷河体験もそんな不思議なことの一つだった。だって、そもそも私は悠長に観光旅行などしているような分際ではないから。

若き日は女優を夢見てお芝居をし、その後はシュタイナー学校でハンドワークの先生をされていた、というこのおばさまと留学中に知り合ったこと、その後、おばさまがちょうどスイスに居るときに、私が久しぶりに、わらにもすがるような気持ちでドイツを再訪することになったこと、などなど、いろいろなめぐり合わせがそこにはあった。

それで電車にコトコトと揺られてドイツからこのすばらしい景観のスイスへ、このおばさまを訪ね、音楽のこと、人生のこと、その他もろもろ、数日、美しい大自然の中を散歩しながら語り合った。夢のようだったし、今でも夢のように思える。

泊まったのはおばさまが長年定宿としていたところで、民宿を経営しているご家族のお宅だった。家族ぐるみでお付き合いしているようだった。夏休みで故郷に帰ってきたという、ここのオーナのお孫さん(お嬢さん)が、夜のお茶にと、摘み立てのハーブを分けてくれたりした。

長く続けてきたこの高地の民宿も、オーナー夫妻がご高齢のため、そろそろお嬢さんのいらっしゃる下界の街に移り住むとのこと、今年の夏が最後と聞いた。