AUという村

先の記事のエンガディン・トルテのおかげでスイスを思い出し、想いがヨーロッパに飛んだ。

ところで、スイスのお隣、オーストリアの山村にAUという村がある。これを私は、ヘルマン・プライがかつて始めたオーストリアの山村シュヴァルツェンベルクでのシューベルティアーデ音楽祭を訪ねたときに、近郊案内の地図で見た。山、あるいはちょっとした丘を一つ越えるごとに、村がある。そんな一帯で、そのように散在する山村のひとつがAUという村だ。ドイツ語だから「アウ」と読むが、日本の携帯会社のようだなあ、といつも気になっている。

Au」(「Aue」ともいう)はドイツ語で「水辺の緑の沃野、河の中洲」といった意味の言葉である。地図に見ると、AUの村は山間を流れるせせらぎの側にあるから、まさにその通り、命名されたのだろう。

東京では、山手線に乗って次の街はどこどこ、という感覚だ。それと同じように、そんなオーストリアの山間に住む人たちは、今も、バスで一山、一丘越えると、・・・の村、という感覚の生活が営まれている。