「君よ知るや南の国」と日本

イメージ 1これはベルリンで3箇所場所を変わったと言われている森鴎外の、最初の下宿先であった建物です。2階が鴎外記念館として公開されています。前の記事にあるライプツィヒ訪問の数日前に立ち寄ることができました。
 
舞姫」に出てくるクロステル通りの下宿は、ここの次に住んだ2番目の下宿先だったそうです。
 
鴎外は医学の分野で4年間のドイツ留学を終えて1888年に帰国すると、1889年には仲間と共に訳詩集「於母影(おもかげ)」を雑誌「国民の友」誌上に発表しました。これは日本で発表された西欧の詩の訳詩集としては最初の画期的なものでした。鴎外がドイツ留学中、ミュンヘンで読んで感銘を受けたという、ゲーテの小説「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」中の登場人物ミニョンの歌「君よ知るや南の国」も、この中に入っていました。ミニョンがドイツにあって故郷イタリアに思いを馳せて歌うこの詩には、ベートーヴェンシューベルトシューマン、ヴォルフ等、ドイツリートの作曲家がこぞって作曲しています。日本でのドイツ文学、ひいてはドイツ歌曲の普及の源に、このように、かの森鴎外による紹介の労があったとは、感激です。鴎外さん、ありがとうございました!そして、これからもどうぞ見守っていて下さいね。