幻のオーギョーチィ(愛玉子)

東京藝大近く、正門を出て、日暮里方面へ歩き、言問通りを渡ると、ほどなく右手に小さな「愛玉子」の看板が出ているお店がある。表にはガラスケースも出て、デザートのようなものが(かなり古いデザインで・・・)飾られている。よく見ると、「オーギョーチィあります」という手書きの札も出ている。
 
そう、このオーギョーチィ、漢字では「愛玉子」と書くようだ)は知る人ぞ知るデザートである。昔、慶応出身で、藝大に進んだ藤山一郎が、好きでよくこのお店に来て食べていた、だから、あなたも召し上がると喉によいのでは?、と藝大の公開演奏会などによく聴きにいらしていて、いつしかお話するようにもなった老夫婦の方から伺ったことがあった。それ以来、ずっと気になっていながら、今日まで食べる日がなかった。つまり、今日は、私にとって初オーギョーチィの日!
 
学校の近くとはいえ、なかなか、立ち寄るチャンスがないものだ。持ち帰り用もあると聞いていたので、今日はリハーサルの後の休憩のおやつにしようと購入して持ち出す。
 
初めての味は、とてもおいしかった!説明書も付いていた。それによると、台湾の山ろくに密生する植物の木の実状の種子を寒天状に加工したもので、昔は台湾の原住民の主食でもあった。腎臓によいそうだ。これに薄黄色の蜜をかけていただくものだ。感触としてはみつ豆のようなものだが、寒天よりもしっとりと、プルプルしていて、一つ一つの大きさが大きめ、だけど、するっと食べられてしまう。一パック400円也。
 
お店のご主人に、藤山一郎さんのお話を伺っています、とお話したら、そうなんです、うちの常連さんだったようです、とのお話でした。
 
説明書の最後には下記の通り、お店の住所と電話番号がある。つまりお店の名前そのものが、愛玉子なのか。何年越しかで自ら確認した次第。納得のお買い物、お味でした!
 
愛玉子台東区上野桜木2-11-8 Tel 03-3821-5375