阿武隈川に安達太良山

イメージ 1今日も都内のJRの中吊り広告にJRの「いざ東北」というポスターを見た。東北へ旅に出て、旅先で消費することも支援のひとつだ、という、なかなか宣伝上手なポスターだ。
 
そういう私もつい数日前、思い立って東北に行って帰ってきた。
 
新しい新幹線「はやぶさ」号は速いこともあり、人気があり、思い立った前日夜にネットで空席を調べたところ、すでに満席、仕方がないので、もともと「はやぶさ」号で予定していた家族より早い「はやて」号にのり、先に目的地仙台に降り立ち、しばし、乗り換え口で後から来る家族を待つ。手にはお墓参り用にその日の朝、家族が庭で用意した切花。
 
「はやて」号もかなりの超特急で、埼玉県の大宮駅を出ると次の停車駅は仙台だ。那須塩原も郡山も福島も素通りだ。そんな車内でも、車窓からの風景(進行方向左側)にあるときから青々とした山並みが見えてくる。こうなると私はじっと座ってはいられない。カメラをもってデッキ(?というのだろうか、つまり座席のある空間から自動ドア一枚外のドアやトイレのある空間のこと)に出る。そして、ドアの窓越しにカメラを構えた。
 
ノンストップなので、今どこを走っているのか、なかなか正確にはわからないが、やがて、「郡山」の文字が素通りした駅の表示だったか線路沿いのアパート名だったかで目に留まる。そして美しい青い山に夢中でシャッターを切っているうちに、今度は真っ暗なトンネルに入った。ここからは最初、途切れ途切れだか、やがて本当に長いトンネルにも入る。この、トンネルに入る寸前のところで、川を渡った瞬間の写真に、こうして山も写ってくれていた。山は知恵子抄でも有名な安達太良山、川は今、地図で新幹線線路がトンネルに入る直前のところを確認したが、ちょうど阿武隈川だ。絶好の一枚が撮れて嬉しい。
 
高村光太郎の『知恵子抄』は誰もが知る、いわば詩人の生涯の伴侶、智恵子への愛の連作詩だ。「あれがあだたらやま」というくだりは美しい音としても記憶に残る箇所である。
 
自然美しい福島が今、苦しんでいる。広島も長崎も、原子力から離れる方向性を示唆した。日本の歩むべき道は自ずと明らかなはずだ。