秋の新芽

イメージ 2イメージ 1秋に新芽が出てきました。お馴染みの私の薔薇さん、自称「ワーグナーローズ」であります。
 
私はこの秋、大事な季節に、9月25日から風邪をひき、微熱でぼ~っとした、すっきりしない日々を過ごしました。はや一ヶ月が経とうとしいています。熱も出なくなり、ようやく治ったかな、というところです。風邪というのは、本当に困りものですが、あしからず、ひく時にはひいてしまうものであります。調子の悪いときに歌うのは嫌なので歌の練習はお休み。その上、10月初めから、ドイツの音大でお世話になった先生が芸大の招聘教授として来日された関係で、ドイツ語でのドイツリート公開授業(レッスン)での通訳のお役目(週2回)が私に巡ってきて、普段に比べて2倍の日数、教える仕事に携ることになり、しゃべるしゃべる。マイクを持ち、アナウンサーの気持ちになってみたり(笑)。それで元気なときならばオフの日は練習!になるのですが、今回は、この風邪により、オフの日はすべてダウン。(薔薇のために自転車で走ったことは除く。)そんなこんなで、自分が歌うこと、からは離れた1ヶ月を過ごしました。まあ、こういう時があってもよいのでしょう。授業通訳はあと一ヶ月続きます。
 
その間のある日、薔薇の植木鉢の表土がポコポコと細かく盛り上がっているのを不審に思い、ちょっとスコップで掘って見ると、虫が沢山わいているではありませんか。あの、玉虫というのでしょうか、ムカデみたいだけど何かに触れるとくるっと丸くなる、子供の頃、土で遊んでいてよく見かけたような虫です。それがこの鉢の土の中で以上に繁殖して、白い透明な幼虫が沢山わいていました。薔薇の花のあと、元気のない様子が気にかかっていたものの、猛暑の後の秋だし、と木陰に置いたままになっていたのです。でもどうやら、これは虫のせいだと悟った私。驚いて、微熱ある中、近所のホームセンターへ土を買いに自転車で走る!薔薇用の土は売り切れ。残っている植物一般用の培養土も、今年は産地が気になってしまいます。とにかく一袋購入し、マスクをして植え替え作業に入りました。自分の風邪より薔薇の虫駆除に必死(笑)。ちょうど、最近、薔薇の育て方の本を近所の図書館で見つけて眺めていたところでしたので、大体のコツはわかっていますが、何せ、2008年3月に土に植えつけて以来、初めての植え替えなので、緊張が走ります。手術の執刀医の気持ちが少しばかりこのときわかったような気もしました。比較にならないでしょうけれども、植物も生き物であります。確か、今は、植え替えの時期ではなかったような記憶がありますが、この虫のわき具合ではそんなことは言ってはいられません。植え替えの手順を思い出し、すべて執り行いました。つまり、まず、植木鉢を横にして静かに地面の上に土を出し、薔薇の根を傷つけないように取り出す。根の土をすっかりはらって、バケツの水の中にいれて静かに泳がせるように根を洗う。(これは虫駆除のためではなく、通常の鉢植えの薔薇の植え替え手順に従ったものです。)植木鉢を清潔にして、下の方にまず石を敷くのは省略、新しい土を少々入れた後、肥料をぱらぱらと撒き、さらに新しい土を重ね、程よいところで、洗った薔薇の根を再び鉢の中に納まるように土の中に埋めていきます。傾かないように土の入れ方を調節して、再び鉢植えの出来上がり。そして如雨露で水を静かにすこしずつ注いで新しい土を充分に湿らせてあげて、作業終了です。これで薔薇は元気に蘇ってくれるのかどうか、祈る思いで作業を終わりました。その後、1週間たったでしょうか、薔薇に目立った変化はなく、花の終わった長い茎の先の葉がだんだん茶色くなってきます。確かにシーズンの終わりとはいえ、このまますっかり枯れてしまうのではないかと気をもむこと数日。そのうちに、花のあと、花近くの3枚葉とその下にある5枚場の間で剪定するとよい、と書いてあったことを思い出し、思い切ってはさみで3枚葉の下2箇所を切り取った。それから何日後だっただろう、ある日、気がつくと、枯れたような枝から新芽がちょぼちょぼと吹き出しているのに気がついた。薔薇は生きていたのだ、なんと嬉しいことだろう。よかった!それからまた2週間ほど経っただろうか、今では写真のように鮮やかな緑の葉が賑やかに芽吹いている。今年はすでに2度咲いてくれたから、もう花はつけないと思うが、生命の印には胸踊らされる。これで元気に冬を越して、また来年も美しく咲いてくれますように!
 
これから心機一転がんばろう、と思わせてくれる、愛しい薔薇の姿です。私の歌のシーズンは、ちょっと遅めで12月からになりそうです。こののんびりさは、ミラノのスカラ座のようですね。(ミラノのスカラ座のシーズンオープニングは毎年12月7日の聖アンブロージョの日に行われます!)これに乗じて、私もいっそ12月7日に何か企画しようかな・・・!何はともあれ、今度はどんな演奏会、舞台が、どんなお客様との出会いが待っていてくれるのでしょう。自分でも楽しみに、いろいろなことに想いを馳せています。もちろん電車の中では常に楽譜か歌詞カード、という日常はすでに戻っています。ベストな状態で歌を歌うことができ、聴いて下さる方と素敵な時間を共有できる幸せ、を思います。