親子いろいろ

イタリア古典歌曲集で、ふと気がつけば、同じ姓の作曲家がいることに気づく。ボノンチーニだ。一人は"Deh, piu a me non v'ascondete"を作曲したGiovanni Maria Bononcini (1642-1678)、もうひとりはその息子で、"Per la gloria d'adorarvi"で有名なGiovanni Battista Bononcini (1672-1748)だ。ちょうど30歳違いの親子だ。
 
他に有名なところでは、イタリア古典歌曲集に「すみれ」ほか、何曲も作品が入っているアレッサンドロ・スカルラッティは、かのピアノ・ソナタで有名なドメニコ・スカルラッティの父である。父はナポリ派のオペラ作曲家だったのだ。
 
イタリア古典歌曲は、声楽を志す人が、入門の時期に必ずといってよいほど勉強する分野である。周知のとおり、「歌曲」とは名ばかりで、実はどの曲も殆ど例外なく当時のオペラのアリアやアリエッタであった曲が、その部分のみ伝承されて、歌集に編纂されて親しまれてきたために、今や、「古典歌曲」と呼ばれるに至っている。
 
パリゾッティという人が、ロマン派風のピアノ伴奏をつけたものや、それに準ずるものが広く流布しているが、本来は通奏低音を伴うオーケストラ伴奏で歌われた時代のものだ。
 
以前にベルリンの大きな音楽ショップの楽譜売り場で、ちょうど日本から演奏依頼のあった作品の楽譜を買い求めながら、迫りくる時間を惜しみながら楽譜売り場を眺めていたとき、CDつきのリコルディ社の3冊組のイタリア歌曲集を見つけて、思わず購入した。このCDには何が入っているかというと、詩の朗読と、伴奏が録音されたものが収録曲分含まれている。日本でもすでに目にしたことはあったけれども、なぜかベルリンでこれを自分へのお土産に購入して帰国した。正直なところ、これが、私の手元においた初パリゾッティ版だ。とても気に入っているし、折に触れ、手に取り参照する機会も少なくない。カラオケCDは今のところ、まず使うことはないけれども・・・。