ペーザロ3: オペラの休憩時間

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次におもしろかったのは休憩時間だ。美しい劇場だが、劇場内に飲み物を出すサービスがない。みな休憩に外に出て行くので私たちもついていった。そこでおもしろいことには、劇場前の広場がフォワイエのように華やぎ、海辺の街の夕風におしゃれした人々がたたずむ。さらに!!、お向かいのジェラート屋さんに長蛇の列。私たちも並んでしまった。そしてドレスのご婦人やスーツできめたお兄さんたちもジェラートを広場でほおばっている。こうしてのどかな休憩がおわり、ふたたび劇場へ。なんともリゾートならではの、ちょっぴり田舎っぽい風習であったけれど、憎めない。ちなみにパトロールの制服警官の姿もあった。写真わきにとまっているのはパトカーだ。
 
終演。天井桟敷に座っていた連中同志、お互いに一日の行動を共にしたような不思議な連帯感が生まれていた。よい旅をね、とお互いに声を掛け合って別れる。また来年、という常連さんたちの声も聞かれた。私たちはこの賑わいを離れて、帰途についた。その前の公演で知り合った地元のおばさま(写真中央)が、自分の海辺のパラソルなど見せてくれ、静かな海岸を散歩するという回り道をしての帰途だった。常連のおばさんだから海に面した一番いい場所にパラソルがあった。自慢だったのだろう。来年もいらっしゃいよ、としきりに勧めてくれたおばさんには、その後も細々とだが文通している。次の年、ペーザロには行けなかった私に、フェスティヴァル中の新聞記事などを送ってくれ、記事を通して、ペーザロの空気を吸いながら、私は日本の夏を乗り切った。またいつか必ず訪れたい街である。