ユーロ記念日

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私がドイツに留学中だった2002年1月1日、ユーロ通貨の一般市場での流通が始まった。送金など書類の上ではすでにユーロはそれ以前に始まっていたが、実際のユーロ紙幣や通貨が出回るのはこの日が初めてだった。

ただでも日曜、祝日は店舗が閉まるドイツ。1月1日はもちろん銀行も閉まっている。日本への年賀状も出し終えて、ひとりぽつねんと迎える元旦をどこで過ごそうかと思ったが、開いているところを探す方が難しい。ただ散歩するのも寒い。そこに、州立美術館のパンフレットが目に入る。なんと、元旦も開いている!!!市内だからいつもの定期券で行けるし、元旦にのんびり美術鑑賞というのは悪くない。ここに行くことに決めた。

朝のんびりと起きて、朝食を済ませ、外に出た。まずはユーロを手にしてみたい。近所のATMで、5000円程度のユーロを引き出してみた。何種類かの紙幣が出てきた。新品でおもちゃみたいだ。

これを手に美術館へ。重い扉を押して入り口を入ると受付だ。随分すいている。さて、学生一枚!と学生証と共に受付へ。数百円だが、コインがまだないから一番小さい紙幣を出した。受付のお姉さんは、奥からまだフィルムに筒状に包まれたコインを何筒か出してきて目の前であけた。え~とこれが1ユーロ、これが20セント、とまるでおもちゃで遊ぶ子供のように私へのおつりを揃える。私も一緒に手伝った。今までマルクになれないで、小銭入れを覗いて戸惑っていた私だったが、この時、それまでのドイツ人と外国人という区別がなくなり、突然、同じ土俵に立ったような気がしたものだ。

これが私のユーロ通貨市場流通開始第1日のちょっとばかり微笑ましい思い出である。

ゆっくり見たので外に出るともう日が傾いていた。外は雪化粧。前の年はホワイト・クリスマスだった。気温が低いと、一度降った雪は長持ちする。