洗面台 Das Waschbecken

今日は、私が大学のお仕事の一貫で、授業で通訳を承っているドイツ人の先生から、官舎のWaschbeckenのお湯の出方がおかしい、ガタガタ揺れているので、このままだとお湯がそのうちに噴出すかもしれないから、至急、大学の事務所に連絡してほしい、とお電話がありました。

そうなんです、大学の事務所にはドイツ語のできる方はいらっしゃいませんし、先生も日本語がお出来になりませんので、こういうときも私の出番となります。

さて、Waschbeckenとはドイツ語の辞書をひくと、最初「洗面器」と書いてあってちょっとびっくり。洗面器からお湯が出てるの??? いえいえ、違います、よく見ると「壁に取り付けられた洗面器」と書いてあります。でもこれもちょっと不思議な感じ。洗面器を壁に取り付けた姿、というのは思い浮かべるだけで滑稽です。わからないでもないですが、ようやく3冊目の辞書で、「洗面台」というまともな日本語訳に行くつき、ほっとした私でした・・・。

かねがね辞書を作られた先人の方々の偉業がなければ、今の私の勉強は寸分も成り立たなかった、と思っております。また、そういうお仕事に献身された方々にはいつも足を向けては寝られないと思っております。でも、今日のドイツ語Waschbeckenについては、こうしてちょっとおもしろい訳語探しの旅となりました。

留学前、私はラジオのドイツ語講座を欠かさず聞いてドイツ語力を身につけようと努めました。最近、本屋さんで久しぶりにラジオ講座のテキストを見て、懐かしくなりページをめくってみました。今聞いてもおもしろそうです。ドイツに行った当初、毎日ラジオ講座が聞きたい、と思ったものでした。何せ現地、現場にいると、もはや言葉を勉強する時間は殆どなく、ひたすら出くわす書類や、手紙、会話の度に、辞書を頼りにひとり戦う日々となるのです。それも楽しい思い出、実地訓練はやはり強力で、つたないながらも現在の私のドイツ語力が養われました。でもこうしてWaschbeckenと聞いて辞書をひいてしまうように、まだまだ実力は定かではありません。

ところでWaschbeckenの言葉で、Waschは動詞waschenからわかるように洗うことに関する言葉です。では、Beckenとはなんでしょう。辞書には「水槽、洗面器、盆地、骨盤、楽器のシンバル」といろいろ並んでいます。どれも洗面器のように水を入れて保てるような形状をしているのですね。

こうして辞書を繰りながら言葉で遊ぶのも、楽しいひと時となります。