音楽の都ヴェネツィア

昨日、ヴェネツィア楽派のバロック声楽曲の演奏会を聴かせていただく機会がありました。古楽アンサンブルと歌での演奏会、とても楽しみました。誰もが受験の課題曲で勉強したようなイタリア古典歌曲は、もともとは通奏低音がついていて、チェロとチェンバロと一緒に演奏されたものでした。いつか私もそういう編成で懐かしいイタリア歌曲を歌いたい、という希望を持っているので、昨日の演奏会は、その好例を見せていただけたようで、有意義でした。

私はまだ行ったことのないヴェネツィアですが、師、友人、ペーザロで知り合ったイタリアのおばちゃま等々、いろいろな方から直接、お話に伺ってきて、とても身近なイメージがあります。観光の上でも一番にスポットのあたるサン・マルコ大聖堂ヴェネツィア楽派の作曲家たちは、皆、直接的あるいは間接的に、サン・マルコ大聖堂と関わりのあった人たちでした。

ところで、昨日の解説で、港町には孤児がつきもの、ヴェネツィアもその例にもれず、孤児院があって、そこでの音楽教育もこの街の音楽文化発展に寄与していた、というお話も興味深いものでした。そういうお話を聞くと、蝶々夫人のように、子供と一緒に置き去りにされてしまった女性の悲しさをふと思ってしまうのは、私だけでしょうか。

ルネサンスバロックと音楽を発信したヴェネツィア。その音楽は、ドイツの大バッハ以前の音楽文化史の重要な潮流を作っていました。

こんな歴史的な街が、いつまでも沈まずに、残っていて欲しいものです。

初夏のような春の日に・・・。