トーマス教会での安らぎ

イメージ 1ライプツィヒのトーマス教会。前の祭壇、右側の床にはバッハのお墓もある。このときは、夕刻の礼拝の前なので、そこへ見学に入ることはできなかったが、10年くらい前に一度見たことがある。
 
先の記事のゲヴァントハウス演奏会の当日券を入手したあと、開演時間までの数十分のお散歩の目的地はここ、トーマス教会。この日の午後、レーベユンからの旅から休みなく、シューマンハウス、ゲヴァントハウス、そしてここまで歩き続けて、ついにこの教会のイスに座らせていただく!後ろの2階席からは、礼拝の曲を準備して指ならしをしているパイプオルガンの音色が降り注ぐ。文字通り癒されるひと時。このまま礼拝まで居たいところだが、翌朝にはもうライプツィヒを出てベルリンへ向かう私には、時間が限られている。18時からのフリーデマン・バッハ生誕300年演奏会に行かなければ!ここでお父ちゃんのバッハさんと、旅の疲れを一瞬でも癒されながら、一時の対話をさせていただけただことに大いに感謝して、この場所を後にする。外に出ると懐かしのバッハ像はすでに夜の帳の中で、写真は撮ってはみたものの、少々暗すぎる。出口そばの教会附属のお店でつい絵葉書を購入した。私のバッハ好きは小学校のときピアノで弾いたメヌエット以来、現在では偶像崇拝?!にまで至っているとこのとき改めて自覚する・・・笑・・・。
 
バッハがカントルとしてカンタータを作曲し、オルガニスト聖歌隊の指揮等、もろもろの仕事をこなして活躍したトーマス教会。現在のカントルであるビラーさんは確かバッハから数えて16代目だったか。
 
この数日前、レーベユンでのレーヴェ祭のオープニングは、このビラーさん率いるトーマス教会少年合唱団の力強い、渾身の歌唱だった。小さな街の会場だったから、ビラーさんに開演前も終演後も廊下でばったり会えてしまい、ご挨拶ができた。(留学中、シュトゥットガルトのバッハ週間に参加して以来、ゆうに8年ぶりくらいの再会。当時、教会の解説演奏会でビラーさんの解説、指揮の部分にアルトソロで参加、みんな一緒の楽屋となった教会の一間で、古楽の楽団の方々や合唱の方々と一緒にビラーさんも、私も、みんな一緒、おしゃべりしながら、ふるまわれたサンドイッチをほうばった。)当時、一緒に写った写真もお見せした。お若い御自身のお姿に驚いておられた。いずれにしても、覚えているかいないかはあまり関係ない。こうして、今は日本に生活の拠点をおく私が、たま~に訪れたドイツで、そのような再会のときを与えられたことに、感動を覚えた。
 
ちなみにそのレーベユンの街の会場で、自分たち少年合唱団のPRパンフレットを売り歩いていた合唱団の一員である少年が、その写真を見たいというのでこっそり見せると、「え~っ、若いな~!本当?!スマートだったんだ!今、もっと太ってるよ!アハハハ!」、とそう遠くない過去の親分の姿を楽しそうに眺めていた。バッハもカントル時代、こうして少年たちの父として兄貴分として、慕われたのだろう、と思うと、とても微笑ましい気持ちになった。