ゲーテのファウスト展@東京ゲーテ記念館

イメージ 1東京北区西ヶ原にある東京ゲーテ記念館をご存知の方はどのくらいいらっしゃるだろう。私は2年前に初めてその存在を知った。北区にある会場での演奏会のチラシを置かせていただいたことがあったのだ。でも、まだ自分で足を運んだことがなかった。ゲーテには興味は存分にあるのに、月日の経つのは早いものである。この度、また同じ会場での演奏会のチラシを置いていただけることになり、今度こそはとお天気のよい日に出かけてみた。
 
入場無料のこの東京ゲーテ記念館では、展示内容が随時入れ替わるという。今年の展示は「ゲーテファウスト」展である。ガラスケースの中には日本でのこれまでの「ファウスト」訳本、ドイツでの原書のほか、豪華な装丁のロシア語版や英語版、1854年シュトゥットガルトのコッタ社から出た立派な装丁のものや、ゲーテ没後100年の記念に出された白地に金色で模様の入った装丁のものなど、古今の「ファウスト」が並ぶ。手塚治虫の漫画「ファウスト」もあった。(こんな漫画があったとは、私の範疇にはあまり意識がなかった。興味深い。)そのほか、歌劇「ファウスト」の日本での上演時のポスターには、ファウスト藤原義江、マルガレーテに砂原美智子の名前があったりする。これは藤原歌劇団第38回公演で、指揮はグルリット、帝国劇場でのものである。セノオ出版の絵入りの楽譜(マルガレーテ「宝石の歌」)の表紙なども観ることができた。その他、日本での演劇上演のポスター等のコーナーもあった。一部屋限りの展示であるが、これらを全て観るうちに、ゲーテの「ファウスト」を初めて読んだ頃のこと、シューベルトの「糸を紡ぐグレートヒェン」を初めてレッスンや試験で歌った頃のこと、ドイツでデュッセルドルフやワイマールのゲーテハウスを訪ねた頃のこと、などなど、様々な場面の思い出と空気が急に奥行きを持って蘇ってくるようだった。
 
桜の季節を終えた王子の飛鳥山を徒歩で越え、本郷通りを一里塚交差点まで進んで右に入ると、この記念館は右側に現れた。この小さな通りには「ゲーテ通り」との道案内版も立っていた。ゲーテ通には是非、おすすめの場所だ。
 
以下は館内でいただいた展示パンフレットより、ご参考まで・・・
 
東京ゲーテ記念館、北区西ヶ原2-30-1、火曜~土曜11:00~17:00、日曜・祝日・月曜休館、展示は4~6月及び8~12月、Tel 03-3918-0828
 
1949年ゲーテ生誕200年を記念して、実業家粉川忠(1907-1989)が王子に設立した東京ゲーテ協会が、1952年に渋谷区に移転して活動を本格化、その後、1988年に現在地に移転し、新館落成。正式名称は財団法人東京ゲーテ記念館。