東京スカイツリーとワーグナー

今日になって、「東京スカイツリー5月22日開業」の文字が東武系列のポスターで目に留まりました。5月22日とは見覚えがあります。そうです、ワーグナーの誕生日だった日です!
 
うちでバラがたくさん咲いたと喜んでいましたが、スカイツリー開業というビッグイベントと東京では重なっていたのですね、奇遇なものです。ワーグナーもこれからの日本の音楽文化にますます君臨するでしょうか。
 
今日は新国立劇場で、昨年バイロイトで同役を歌った歌手を迎えての「ローエングリン」初日のはず。夕方の地震は、公演の最中か、休憩時間だったことでしょう。この作品中には有名な結婚行進曲もあり、楽しめます。結婚行進曲といえば、もう1曲有名なものにメンデルスゾーン作曲の曲があります。そちらは、もう少し煌びやかな感じの音楽になっています。
 
急にスカイツリーに登ってみたくなりました。ワーグナーさんもそう思っているかもしれませんね。いつか行ってみなくては!
 
塔といえば、現代都市文明の象徴のようであり、パリのエッフェル塔が何よりも思い出されます。1889年の万国博覧会のために造られたものです。パリに憧れ、パリで活躍を願ったワーグナーでしたが、あまり成功せず、ドイツに戻り、その後いよいよ本格的な創作活動が始まりました。1883年にヴェニスに没した彼は、あと数年の差で、エッフェル塔は見ていませんでした。ちょうど古きよき時代の終焉の時期であったのかもしれません。
 
とはいってもワーグナーは幼少の頃の疎開をはじめ、あちこちで、きな臭い戦火をくぐり抜ける体験をしていましたから、その意味では、決して安住できる時代とは言い難かったようです。そのような中。必死で創作し続けた作品が、こうして時を経て日本でまで上演されるようになったとは、他人事ながら、感無量です。それをつないでいるのは、インターナショナルに通じる感性、といえるでしょう。人間の、恐らく永遠のドラマ、これがオペラ、芸術の醍醐味です。