赤とんぼに思う

イメージ 1今日、こんな赤とんぼがうちの戸口の側にとまっていました。ちょうど目の高さでびっくりしました。そう、思えばすでに11月も半ばを過ぎ、秋も深まりました。強い風が吹いているので、壁で休んでいたのでしょうか。私がとっさに写真に撮りたいと思い、携帯を取りに行って戻ってきても、まだとまっていてくれました。夜のニュースでは今日の風は「木枯らし一号」だったとのこと。もう冬になるのですね。
 
トンボのことはドイツ語で「Libelle」といいます。チロル地方のマスタークラスの日程も終盤になったころ、日本の歌も何か聞かせてくれませんか、ということになり、子供のころからの愛唱歌「赤とんぼ」を歌いました。
 
私は、自分にまだ記憶のない3才の頃、「もう夜だからおうちに帰らないと」と言われたのに対して、「これはね、おばちゃん、夜じゃなくて、夕方っていうのよ」と行って、「ゆうや~けこやけ~の、赤とんぼ~~~」と歌ったのだそうです。その逸話を聞かされて以来、そうなのか、私はこの歌を3才のときに歌っていたのか、と自分の記憶にはないながらも、とても親しみの感じられる曲になっています。
 
マスタークラスの先生にもこの「赤とんぼ」の歌いだしの上昇して下行くするしなやかな音型がお気に召したようで、あとでこの旋律を歌っていらっしゃいました。私も大好きです。このとき、タイトルを皆さんにお伝えするのに、ドイツ人の仲間に「ところでトンボってドイツ語で何ていうんだっけ?」、と絵に書いて聞いて、「それはLibelle!!!」、と教えてもらって以来、忘れない単語です。教科書にはあまり出てこないかもしれません。
 
作曲者の山田耕筰は、旧東京音楽学校(現芸大)の声楽科を卒業後、1910年から3年間ベルリンに留学し、作曲を学びました。帰国の後は、指揮者や作曲家として日本の音楽界をリードしました。「赤とんぼ」は帰国後10年以上たった後、居を構えた茅ヶ崎で作曲されたそうです。このしなやかな印象的な旋律は、日本風なのか、はたまたドイツ・ロマン派風なのか、皆さん、どちらだとお感じになりますか?私は両者の素敵な融合ではないかと思っています。