強者どもが夢の跡?!

イメージ 1ところで、私たちは今回、ウィーン楽友協会ホールの立ち見席でウィーン・フィルのジルヴェスターコンサートを鑑賞したわけですが、まずは、この写真に見えますバーをご覧いただきたいと思います!これは左側かなたにある舞台に向かって、立ち見席の左右の空間に一本ずつハの字をなすように置かれているものです。恐らく、見切れ線のようなものなのでしょう、よく見るためにはこの内側にお入りなさい、ということかと思います。
 
ところで、屋外で並び、さらに、ホールロビーの一階から二階にあがる階段の下に進み、さらに階段を上がって、この立ち見席入口のドアの前に並び、いざ、入場というときには、先頭近くに並んでいればいるほど、このバーを、お行儀よく右の端まで行ってから、向こう側に行く、などという悠長なことをしていると、列の後ろ人たちにこのバーをくぐって先を越されて、一番前を占められてしまうので、このバーはくぐって下さい!、と、このホールで演奏会鑑賞をすでに経験しているウィーン留学中の後輩や、並んでいてお知り合いになったかつての留学生の方から教えていただきました。そして、私たち、実際にここをくぐり、めでたく檻、いえ、柵の内側、一番前に立つことができました。
 
東京の満員電車でもよく経験することですが、大勢の人たち(立ち見席空間には300人入るそうです!)の体勢が落ち着くまでしばらくは押されたり、多少、抵抗して押さずともふんばったり、と緊張感がみなぎりましたが、やがて、それぞれに居所を得て、落ち着きました。そのまま檻、いえ柵に寄りかかりながら、手を向こう側にまわしてプログラム冊子を開いて眺めたり、などとしていると、どうにも檻に入れられた動物、前方の客席からは隔離されたような気がしないでもありませんでしたが・・・、しかし、まあ、そこは割り切って、周りを眺めて楽しむことにしました。だって、一番よいお席の定価が600ユーロ近辺のところ、立ち見席は1階正面に立って、20ユーロで鑑賞できてしまうのですから。
 
考えてみれば、立ち見席は私にはもう10年近く前のペーザロのロッシーニオペラ・フェスティヴァル以来です。その時の模様はやはりこのブログに書き、本になったとき、面白い!と反響をいただいたものでした。奇しくもあのペーザロは、私がウィーンでのマスタークラスにドイツから参加し、その後、ウィーンからドイツの街の空港に飛び、大きな荷物はイタリア行きの飛行機のチェックインカウンターに、「まだ時間が早すぎる!」と言われながらも預けて、一端、手荷物だけでドイツのアパートに帰り、荷物を少々入れ替えて、また空港に向かい、イタリアに飛んで友人と合流して旅をした、まさにあのイタリア旅行のときでした。時も経ったものです。相変わらず立ち見席にいる私にはどうも進歩がないというか・・・(笑)。まあ、今回の立ち見はウィーン・フィルの正式な抽選に当たったからこそ買えた、嬉しいものでしたし、かつてのペーザロの立ち見もそれはそれは楽しんだのでした。もしも私が王女さまで、一日だけ「ローマの休日」をやる、となったら、やっぱり劇場立ち見席に向かうでしょう!並んでいるときのおしゃべりやら、ダフ屋?が寄ってきたりする様子やら、話題に事欠きません。
 
開演を待つまでの間に、少し人いきれでムンムンしてきたかな、と思い、ハイネックのドレスの襟のボタンを少々、緩めてみたりしながら、ふと天井を見上げれば、そこには何とレトロなプロペラのような細長い羽の扇風機がついているではありませんか!さすが、環境に応じて考えられています。これは立ち見席の天井限定だったと思います。(写真の中央上部のまあるい形の中央に扇風機の軸があり、羽が天井と平行に回っています。こういう扇風機は、やはりそのイタリア旅行の折、冷房のない古い歴史的な建物を利用した宿で、ベッドに横たわったとき、お目にかかりました。いつも天井についているのですね。あの夏はヨーロッパも猛暑でした。
 
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