ザルツカンマーグート:マーラーの作曲小屋

マーラー交響曲第2番「復活」の演奏会に向けて、マーラー関連の本も紐解いてみました。何より私をひきつけたのは1枚の写真でした。それは、マーラー1893年から96年にかけて夏の休暇に滞在して作曲に専念したという、アッター湖畔シュタインバッハの湖に面した美しい光景です。ザルツブルクの東方約50キロのザルツカンマーグートにある湖だそうです。

このこよなく美しく、鳥の声以外には何も聞こえないような自然の中の静寂の光景を見ていると、マーラーの音の世界が急に近しいものとして感じられるようになります。(マーラーは猫もかっていて、散歩のとき2匹の子猫をポケットに入れて連れて歩いた、ともどこかで読みました。猫好きの私にはますます親しみ深い逸話でした。)

さて、1893年、この湖畔の小屋でスケルツォとアンダンテ、すなわち第3楽章と第2楽章のスコアを完成させ、歌曲「原光」のスコアも同じ夏に完成されました。(交響曲の構想にはまだ入っていなかった。)

いずれにしても、第4楽章のオーケストラ歌曲とは思えないようなピアノ、ピアニッシモ、いや、ピアニシッシモの箇所もあるような静寂の美は、この涼やかな山の湖の、静かな湖面にそっと触れるような空気感の中で、マーラーが霊感を得たものだった、と思うと感慨深いです。

ザルツカンマーグートには残念ながら私はいったことがないので、写真の掲載はありません。私が写真を目にしたのは下記の本です。

マーラー」船山隆著、新潮文庫(カラー版作曲家の生涯)